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支部誌・同人誌推薦作の優秀作に選ばれた 林 東 植 (リン トンシッ) さん |
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「半世紀近く療養所におって、社会で生きていくのはハードルが高い。でも、ボランティアの一人ひとりが跳び箱を跳ぶ台になってくれる。生かされてるんよ」 朝鮮人の父母のもと、大阪・吹田市で生まれ、9歳のときハンセン病を発病。療養所に強制入所させられた20歳のとき、眼球注射で失明。自殺を図ります。 「病気が治って帰るのを待ってる母親のことを考えるとかわいそうで、この世から消えたいと思った。 優秀作に選ばれ『民主文学』12月号に掲載された小説「台湾どじょう」は、戦時下、国民学校1年のころ、民族差別を受ける貧しい育ちの少年が主人公。「母親のことを書くと自分が泣けてくるから、あんまり出さん」と言う林さんがここで描くのは、「おまえも母ちゃんも本物の朝鮮人やで」と誇りを持つ母親。その姿、少年の母への思慕が読む者の心を熱くします。 2002年春に社会復帰。盲導犬オルティと図書館に通い、ときには6時間に及ぶ口述筆記で自伝的作品の集成『ろうそくの炎』の完成を目指しています。 「手足も不自由。腰も立たんようになる。でもその苦痛に耐えるだけの充実感がある。今までの歩みを記し人に読んでもらって役に立てば地球上に存在した価値があるんじゃないかな」 ほとばしる生きる意欲。刺すような神経痛は生の証しと言い、ころべば奮い立って歩く、と。「長い間、閉じ込められて飛びたいのに羽がなく、歩きたいのに足がなかった。今、知らんことは探ってみたい。それが僕の人生じゃ思う」 |
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文・写真 児玉由紀恵 (「しんぶん赤旗」2005.12.10より) |
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