■■ 「批評を考える会」 <2005年12月> ■■

 

 2005年最後の例会は、12月15日(木)、忠臣蔵討ち入りの晩に、文学会事務所にて行われました。11名の参加でした。
 報告者は文芸評論家の岩渕剛氏。テーマは「戦後民主主義文学運動をふりかえる(五)リアリズム研究会の動き」パートU。前回に引き続く内容で、この研究会が、「流派」の運動から全国の民主主義文学運動を担うようになっていったこと。『リアリズム』を創刊し、日本の民主的変革の理論の未成熟の問題にも光をあてていったなど。報告者の丹念な調査とともに、民主主義文学同盟の創立に到る過程の理性的なエネルギーに、参加者は大切な手がかりをつかむことができました。
 新日本文学会とのかかわりでは、倫理的、論理的態度であること。当時の組織活動、同人・会員制度、地方組織、全国研究集会の提起は、今の民主主義文学会へひきついでいったこと、一筋ではない熱い先輩達の思いが伝わってくる報告でした。
 つづいて質問、討論に入りました。月刊誌『現実と文学』発行の裏話を鶴岡征雄氏が先ず話されました。お話から、この文学運動が広く、様々なこだわりも時間をかけて克服してきたことなど、そしていろいろな流派の作家達が創作方法を求めて集まってきたことなどを知ることができました。書きたいものはあるが、いかに書くかという問題は、現在の私達に通じて来る課題であります。
 リアリズム論も、この研究会の重要なテーマの一つとしていつも底流にすわっているのですが、アヴァンギャルドや私小説の方法を弁証法的にとらえ、積極面を生かして行くことなど、私達の文学運動の深さを知り、そこをバネに参加者がそれぞれに来年への希望を胸にした例会であった。小説を書く人の本当の気持ちを理解するために、『小説の心 批評の目』をテキストに次の例会を開こうという声も出されました。
(玉造修)

 
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