■■ 「批評を考える会」 <2005年10月> ■■

 

 去る十月二十日(木)に、岩渕剛氏を報告者として、「戦後民主主義文学運動をふりかえる(五)リアリズム研究会の動き」をテーマとする例会をもちました。前日は文学会創立四十周年記念の文芸講演会でしたがその席上「元気を貰ったので」と、茨城から遠路自動車を走らせかけつけてくださった玉造修さんのご熱意に感激いたしましたものの、報告者とスタッフ宮本三名のみの参加。「日が悪かった。連日は無理であったのか」と落胆すること頻り。
 「批評を考える会」では、首都圏在住者を中心とした会内の評論家諸氏、また例会に一度でも参加された方々五十名ほどに、この欄での「お知らせ」に重ね、ご案内の葉書を差し上げております。しかしながらこのたび、宮本の怠慢・事情により「葉書」を出すことができませんでした。参加者が僅少であった一要因と考えられます。寂しさをかみしめながら、三名で報告者が貴重にも持参してくださったリアリズム研究会刊行『リアリズム』および『現実と文学』(『リアリズム』改題・リアリズム研究会の発足は一九五七年。一九六二年三月に当誌の月刊化にともない改題)のバックナンバーをひもときながら、「文学の創造理論としてのリアリズムの研究・深化」を目的として新日本文学会内の一流派として結成されたリアリズム研究会の理論的根拠とその活動についてをたどり、意見や感想を語りあいました。
 民主主義文学同盟が創立されるにいたる産みの過程=A当時の理論がどのようなものであったのか、現在との異同を研究することは、民主主義文学運動の現在地、その行方をたしかめ、探りだすうえに重要な手がかりとなります。温故知新、幸いなり。当時この研究会に集う作家たちによって、例えば金達寿「朴達の裁判」(一九五八)、霜多正次「守礼の民」(一九五九)、窪田精「海と起重機」(一九六一)などなど、民主主義文学運動の歴史に残る多くの作品が産み出されました。十二月の例会で、再度同じテーマで創造と理論の関係について探求してみようということになりました。ついては、パートUのご案内を当欄にいたします。来年の文学運動の実りを期してどうぞ多数の方々のご参加を。ただし今後今回のように案内葉書届かぬ場合も、また葉書をたまたま差し上げていない幸運な(?)&々においても、この欄のご案内が唯一無二の真実、大歓迎であることをどうぞお忘れなきよう。
(宮本阿伎)

 
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