二月十日、「心さわぐ文学サロン」が二十七名の参加で行われた。テキストは青木陽子『星と風のこよみ』(光陽出版社刊)。テーマは「私たちはあの時代をどのように生きたのか」である。司会は三浦光則氏。
まず報告者の草薙秀一氏から作品の概略と評価について報告があった。事前に配布された報告書は三ページにわたりぎっしり書かれていた。結論として、「悔いなく生きるために、それを貫こうとした女性の物語」であり、「読者に己の歩んできた道を考えさせ、さらにこれからの人生の行く手をすこしは豊かに、まっすぐな姿勢で生き抜いていこうという思いにさせてくれる一編であった」と。
作者と同世代の参加者が多く、教師や民医連の職場で働いていた経験もこもごも語られた。また今も民医連や医療生協の役員やお手伝いをしている方も何人かいた。
作品は、七〇年代はじめの革新首長が次々に誕生した上げ潮の時代から、八〇年の社公合意や熾烈な反共攻撃による革新退潮の時代までが描かれる。清友会はその頃、診療所を中心とする地域医療重視から病院建設、開院後は病院が経営の中心へと進む。が、政府の医療・福祉攻撃は病院経営を圧迫する。作品の山場となる病院医事課での道子の孤独な闘いは、実は民医連の職場での試行錯誤の反映でもあったのだ。作者は時代と道子の生き様を書くことによって、そのことを発見したのではないか。
最後に青木陽子氏は次のように述べた。
「教師を辞めたことはずっと引きずってきた。夫は、契約違反だ、とずっと怒っていた。でも今、夫は、あんたの生き方、間違っていなかった」と。
ジェンダー問題や家族の問題は、残念ながら時間がなくて深められなかった。次回以降の課題ということでお願いしたい。
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