心さわぐシニア文学サロン

第22回 『戦争』を受け継ぐとは―能島龍三『八月の遺書」を手がかりに

 八月六日(土}午後二-四時、「心騒ぐシニア文学サロン」を開いた。「『戦争』を受け継ぐ、とは――能島龍三『八月の遺書』を手がかりに」と題して、新船海三郎氏が報告した。参加者は四十四人。

 新船氏は、「『戦争』にはみずから進んで能動的にかかわっていかなければほんとうのことが見えない。当事者ではないから余計にそれが大事。義務、使命感では書けない。自分のテーマが見つからない」「『戦争』を知る、語る、えがく、はテクニックではない。自分が人として生きるためにどうしても通らなければいけない道だと思う。だから、言葉でいえば、それは思想だということになる。イデオロギーをいうのではない。日常の立ち居振る舞い、である。その思想があってリアルにかける。思想のないリアルも、リアルのない思想も、『戦争』は拒否している」と報告した。

 討論では、「なぜ小説で表現するのか。テーマの大きさに比して短編は難しいのではないか」「一人の人間の中に、人間的なもの、非人間的なものが同居している」「若い世代に伝える上で気をつけなければならない」「加害と被害だけでなく、抵抗という線をもう一本引く必要がある」といった意見が出された。

 感想では「テーマにピッタリな日、そして時代でした。参加者の皆さんと同じ気持ちで頑張りたい」「文学サロン三回目の参加です。本を購入して読んで参加しています。毎回刺激を受け、充足感があります。特に今回は、避けていた分野ですし、全てを包括する大きなテーマですので、参加出来て、良かったです。皆さんのご意見も深い所まで掘り下げられていて、目を開かせて貰いました」といった感想がよせられた。参加者から、準会員の加入があった。
 
 (乙部宗徳) 

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