第9回 『団塊』の世代は『親の世代』の戦争をどう描いてきたか
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〈第九回心さわぐシニア文学サロン〉
「『団塊』の世代は『親の世代』の戦争をどう描いてきたか」をテーマに、一月三十一日、約二時間半にわたって語り合いました。参加者は十二名でした。
乙部宗徳氏は、貧困の中でも平和の喜びを感じた時代に育ち親の戦争体験から直接間接的に影響を受け継いだ団塊世代の作家、村上春樹、能島龍三、倉橋綾子らがどのような観点で戦争をとらえてきたか、また作品を通して伝えようとしてきたものについて、作中人物のことばや作者自らの発言録を引用して述べました。
続いて戦後から現在に至る社会のなかでの戦争をめぐる意識の変化にもふれました。特にイデオロギー攻撃による戦争の認識の変化は現代の青年が戦争美化の風潮を安易に受け入れる現象を招いており、更に自己肯定感の喪失にも繋がっていることを示し、「戦争」は時代を隔てても尚現代の社会構造に深く根をおろしていること、今「戦争」を描く上で重要な点は、個人的な体験から脱却し、一方向でなく多方面からの調査でとらえ、問題を今日の現実に立ってあぶり出し想像力と構想力を発揮して描写し作品化する必要性があることが強調されました。参加者からはそれぞれ戦争に纏わる家族の思い出や小説に描きたいと思うテーマ、現代の青年の認識に関する問題意識等様々な発言がありました。参加者は多くはありませんでしたが、皆が今日の「戦争」の問題の重要性を確かめ合う機会となったことと思います。
第二部は新宿の歌声喫茶「ともしび」に直行しました。五時から四時間、四十年前の時代の再現かと思わせる熱気あふれる店のなかで「心さわぐ青春のうた」「国際学生連盟の歌」等懐かしい歌をたっぷり歌って一層意気高く盛り上がりました。
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