2008年2月11日(月)の午後2時から、文学会事務所で、第6回「心さわぐシニア文学サロン」が開かれました。今回は、参加者が自身の世代の青春を描いた小説を取り上げ、それを全員であらかじめ読んできて合評をおこなうという企画でした。作品は長谷川奈緒子作「千絵の青春」で、報告者は作家の平瀬誠一さんにお願いしました。
平瀬さんは、最初にあらすじを丁寧に追ってから、作品の主題に関わる優れた描写や、考える必要のある構成、表現等について、10項目にわたって問題提起をおこないました。報告に基づいて活発な討論がおこなわれ、作品を高く評価する意見から、作品に登場する団体や男女関係に対する疑問まで、たくさんの意見が出されました。男女関係の問題では、現在から見て、1970年代の女性の生き方は、自立という点でまだまだ歴史的制約を受けており、対する男性にも今では考えられない古さが残っていて、当然男女の関係にも現在と異質な面があったのだろうと話は展開しました。あの時代から現在までの社会と人間の発展について、実体験的に考えさせられた議論でした。参加者の中に小説を現在書いている実作者が多いことから、作品の作り方についての意見もまた具体的に出されました。
この題材は、同じ世代の人たちの多くが書きたいと思っていることなのだが、なかなか作品に仕上げることができない、それをこうして一つの小説に完成させたことを大きく評価したい。それが、参加者全体の声だったと思います。最後に作者から作品にこめた思いが語られました。参加者全員から作者に大きな拍手が送られて閉会。参加人数はこれまで最多の22名でした。
次回の「心さわぐシニア文学サロン」は、『雪解け道』の作者青木陽子さんと、同世代の新船海三郎さん、風見梢太郎さんを招いて、4月20日に開催します。
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