「作者と読者の会」 2018年12月号


            作者と読者の会

 二〇一八年十二月八日、支部誌・同人誌推薦作品の優秀作と入選作の「作者と読者の会」が民主文学会事務所で開かれた。

 南城八郎作「いっぽ」について田島一さんが、一九六〇年代の労働現場と独身寮を舞台に組合潰しの暴力に屈しない青年を力強く描いているとして、どうすれば現代の若者に通じる作品になるのかという問題提起などをした。参加者からは、生活をかけた緊迫感と主人公の成長が描かれているとして共感の声が多く出された。作者は「主人公の未来への確信を描いた」などの感想を語った。

 本村映一作「娘はセッター」について最上裕さんが、共産党員が夫のDVに苦しむ女性の相談活動に関わる様子を描いているところがいいとした上で、DVをする側の人間像を描けば、深みのある作品になったのではないかと指摘した。参加者からは、切迫感のある文学世界を創る難しさとテーマを一つに絞ることの重要性についてなどの意見が出された。

 山地八重子作「藁葺屋根の保育園」について橘あおいさんが、七〇年代の保育所づくりの運動を描いていて貴重だとして、現在の保育所問題に繋ぐ意味を問いかけた。参加者からは、単なる回想でなく、女性が働く意味を投げかけている作品だなどの意見が出された。作者は「まだ二作目だが、この小説を書いて文学について学ぶ場が増えた」などと述べた。

 小川京子作「消息」について工藤勢津子さんが、シベリア抑留についての滾る思いを抑えた筆致で切々と描き出したとした上で、わたしと学の交流がさらに書き込まれればよかったのではないかなどの指摘をした。参加者からは、情景を鮮やかに想像させる印象的な好短編であるという意見などが出された。作者は「長期間、納得のできない作品を書いていた時期を乗り越えて書いた」などと語った。

 宮本阿伎編集長の司会と二十二人の参加者(スカイプ参加一人)で、充実した会となり、終了後、組織部主催の「入選者を囲む会」も同会場で行われたが、終始和やかであった。  
                                           (柴垣文子)

 
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