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十二月七日(土)、支部誌同人誌推薦作入選作の木原信義「開示請求した教師」、野上周「荷風を読む女」、大野千里「百姓」、石川倫太郎「回廊のある家」について風見梢太郎氏の報告で行われた。参加は十名。司会は乙部。
「開示請求した教師」について風見氏は、開示請求は自分の弱点を指摘される場にもなり勇気がいることなので、一緒に請求する同僚も描くことで闘いをより高い立場からとらえることができたのではないか、客観的な視点を入れたことは、どう主人公が見られているかを読者に伝える役割をもったと報告した。
討論では、企業の人事評価と教育の場は意味合いが違うので、子どもの成長の視点を作品に入れることで、数値に置き換える評価制度の問題が明らかになるのではないか、冒頭の主人公のキャラクターを生かせればよかったのではないかと意見が出された。
作者からは、全国研究集会に出て、校長サイドから書くヒントを得たこと、実際に学校運営でなく学習指導でC評価とされたことが、作品を書く動機となったと語った。
「回廊のある家」については、医者の家庭なのにどことなく庶民的に感じられるところがあるが、母親の形象がいいと報告。
討論では、主人公の切迫した思いがよくとらえられている、細部のリアリティーに気をつける必要があると意見が出された。
作者からは自殺が若い世代の死亡原因の一位になっていること、若者の苦しみを描きたかったと語られた。
「荷風を読む女」については、文章力、構成が優れているが、荷風を持ち出すことで、原発を深めるうえで妨げになったと報告。討論では、最後の福島の女性のカンショ踊りが印象的だ、知識のひけらかしのように思える、といった意見が出された。
「百姓」については、農作業の描写が光っており、夫との関係はもっと描かれてもよかったかもしれないと報告。討論では、生きることのエネルギーが伝わってくる、生活そのものと闘っているという意見が出された。この作品にふれて、短編小説は瞬間を描くものと言われたが、このように長い時間を書くのはどうかという疑問が出され、外国の小説では珍しいことではなく、葛藤、対立が明確になっていればいいのではないかといった議論がされた。
終了後、新人を励ます集いが行われた。
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