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六月二十五日、渥美二郎「シュフ魂」と大石敏和「ビラ一枚に」の二作品に対する作者と読者の会が開かれた。参加者は参議院選挙の只中で十名と少なかったが作品の魅力から活発な討論ができた。「シュフ魂」報告の稲沢潤子氏は十年前、渥美氏を「クラブNANA」で初めて見出した時の編集長でもある。
「すごく深刻な日常をそのまま書くのではなく作者なりの距離を持って明るく描いている。特に後半部分、障害者の兄と祖母が出てくる場面が光っており、祖母との会話が楽しい。民主文学では珍しい才能の持ち主。また、これからの作者に対して、目の届かないところも見つめ、もう少し深刻に書くことに挑戦してほしい」と報告した。残念ながら、作者は遠方のため参加できなかった。参加者からは次のような感想があった。
面白く楽しく読めた。シングルファザーとして苦労しているがシュフとして食を大切にしている。生きるという本来の日常が見えた。渥美さんらしい批評の眼をもって日常を見つめている。他の人には真似できない。民文では暗い作品が多いので、このような明るい作品も必要だ。
次に「ビラ一枚に」の報告は井上文夫氏。「ビラ配りという地道な党活動を描いた点が特徴であり、最近はこのような作品が少ない。主人公が弱音を吐きながら自分を奮い立たせるようにして頑張る姿に親近感を持つ。ビラの内容はどんなものだったか、二〇〇九年八月の争点と党の政策を明らかにすると良かった。反共老人、某学会の夫婦の描き方には工夫が必要。老婦人についてはなぜ一万円もカンパをくれたのかを書くべきだ。なぜ入党したのかを回想する場面は、ポイントを絞り、孤立化させない。支部長の鈴本の人物像を掘り下げてほしい」
参加者からは次のような感想があった。
政策ビラの内容と、それに対してどんな思いで配るのか書いた方がいい。ビラ配りも戸別訪問も自由にできない日本の現状は世界から見れば異常だ。ビラ配りの意義を伝えてくれる作品。一般の読者が読んだらどのように感じるのか。
作者からは「最近、党活動を描いた作品が少ないと知り、誰もが行っているビラ配りを書こうと思った。ビラ配り弾圧事件があったが、負けずに頑張ろうとメッセージを送りたかった。支部では不評だったが支部誌・同人誌評で取り上げられ、気を取り直した。主人公がなぜ入党したのかを書くようにとの指摘があり、後から加えた」と語られた。 |
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