創造・批評理論研究会」 <2026年4月> 


  松田繁郎「美しい人と人との力」


  四月十七日(金)午後八時より創造・批評理論研究会例会を行いました。批評とはどうあるべきか、具体作に即して考えるとして、松田繁郎「美しい人と人との力」(『民主文学』二五年十一月号)を取り上げ、和田逸夫さんの報告を基に話し合いました。

 報告は、松田評論を詳しく解説し、それについての意見を述べる迄を前半部としました。評論は、旭爪あかねの絶作「こんなときこそ」に引かれている茨木のり子の詩「六月」中の〈美しい人と人との力〉という言葉を拠り所として、旭爪あかねの後期の四作品(「花」「ジャスミン」「約束」「シンパシー」)を読み解いている。が、必ずしもそれぞれの作品を「美しい人」と結びつける必要はないのではないか、これらの短編がその前の長編三部作とどのようにつながるのか、つながらないのか、あるいは、新たな課題やテーマを見出しての次の飛躍へのステップであったのかどうかに眼目をおいて深める必要があったのではないかという見解が示されました。

 後半は、その上で、民主主義文学運動にとっての批評はどうあるべきかを考えます。まず一般的な批評の潮流、民主主義文学や近現代文学の批評の基準について簡単に紹介し、民主主義文学運動の批評活動の課題として、作者が企図したテーマが、作品の言葉や表現、描写とどのようにつながっているのか、何が描かれ何が不足しているのかなど、作品論として作品への切込みが不足しているのではと問題提起します。

 討論では、参加者から、旭爪あかねやその作品についての思いなども述べられ、また、批評活動は創造活動を励まし問題提起となるものであるべき、書き手の成長のために合評は必要でそのためにも批評についてもっと学ぶ必要がある、勉強しなくてはという意見も出されて、批評について思うことをそれぞれに語り合うものになりました。旭爪あかねが拠り所にしたのは、「美しい人」でなく「人と人との力」であったのではないかということも強調されました。
 今回の企画の発端が、二月号の座談会での「嚙み合った批評の場が少なくなってきている」という指摘にあったことを考えると、もう少し報告への批判や批評的意見が出て、議論をする場になると良かったという思いも残りました。これからそうした方向で深めていければと思います。参加者は十四名でした。

        
 (青木陽子) 

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