第二回例会が、十一月二十日(金)午後六時三十分より、文学会事務所で行われ、窪田精「フィンカム」について牛久保建男さんが報告しました。参加者は十人。
報告は、『文学運動のなかで──戦後民主主義文学私記』や最初に掲載された『文学芸術』の総目次など、豊富な資料にもとづいて、窪田精にとっての「フィンカム」の位置、民主主義文学のあたらしい模索における作品の意味にもふれながら、その作品世界を紹介しました。討論では、敗戦によって生まれた様々なパターンの労働者が描かれていること、紹介された当時の作品評での堀田善衛の作品への具体的な指摘や「植民地人間像」(小田切秀雄)といった評価など、戦後民主主義文学の中でのこの作品の位置が明らかにされました。正規の国立病院の職員でないために、全医労を辞めて、文学に専念する道を選んだ作者が、米軍基地の内部を自分の目で確かめようと、フィンカム(米極東空軍補給司令部)で働くことになる経過は作家の姿勢として学ばされるという意見も出されました。
次回は一月に谷本諭さんが「社会主義リアリズム」について、三月に乙部が霜多正次「沖縄島」をそれぞれ報告することを決めました。今後も実作研究と理論的探究を組み合わせながら進めていく予定です。
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