二十六回大会期より、新たに始められることになった創造・批評理論研究会の例会が、十月十六日(金)午後六時三十分より、文学会事務所で行われました。参加者は十二人。
最初に、この研究会を持つこととなった経過が話され、今期はできるだけ毎月何らかの会が開かれ、その報告内容も誌面に反映できるようにして、批評の書き手を育てるものにしたいと、研究会の趣旨が話されました。
第一回目は、文学会が創立されるうえで、重要な基盤となった「リアリズム研究会」について岩渕剛さんが報告しました。
報告は、「リアリズム研究会」の機関誌『現実と文学』の最終号(六五年十月号)に掲載されている研究会の略史で全体を押さえたあと、会の「発足の趣旨」に沿って、その問題意識が明らかにされました。「進歩的文学運動の停滞」の原因の一つとして「創作方法の問題」があげられていること、「勤労者文学の、経験主義的にしか現実をとらえない」方法という指摘、「抽象小説の方法の探求」として否定的に評価されているもの、「プロレタリア文学をあたらしく検討する」必要が言われるなかで、「倫理的なしかたで構想をみちびきだしたような弱点」と指摘されたことなど、今、どのように考えるべきかと問題提起がされました。
こうした諸点について、意見交換した後、次回は具体的な作品を通して深めていくことを確認し、窪田精「フィンカム」を牛久保建男さんが報告することを決めました。実作研究と理論的探究を組み合わせながら進めていきたいと考えていますので、ぜひ積極的にご参加ください。
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