若い世代の文学カフェ

◆ 若い世代の文学カフェ in 盛岡 ◆
『蟹工船』が現代に問いかけるものは?

 2008年10月4日(土)、岩手県盛岡市の岩手県公会堂で「若い世代の文学カフェin盛岡」が開催された。岩手県や青森県、宮城県などから三十二名が参加し、うち半数が若い世代であった。
 午前中におこなわれた第一部では、燈山文久さんが司会を務め、三浦協子さんが「書いて考えて行動する力を」と題して講演。『民主文学』に発表したルポルタージュ「我らは主権者」と小説「黒い海」の創作体験を中心に、人の変化の瞬間を表現したいと思って書いてきたことを述べるとともに、書くことに向かうときには「体感する」ことが非常に大切である、書いて問題を客観視することによりその問題を越えることが可能になる、などの経験と実感を語った。率直で真摯な体験談は、文学愛好者はもとより、書くことを志す参加者にとって、大きな示唆に富むものだった。
 午後からの第二部では、「現代の『蟹工船』と立ち上がる青年たち」というタイトルで浅尾大輔さんが講演した。司会は旭爪あかね。浅尾さんは、作家として、また労働組合のオルグとして活動してきた経験から、文学とオルグの仕事の共通点は「他人を知るということ」だと感じているという。プロレタリア文学に描かれた生活と労働が現実になり、青年の「生存」「誇り」「未来」が破壊されている、という現状認識のもと、ひとりひとりが一歩を踏み出して大きな共同をつくりつつある青年たちの姿を臨場感豊かに紹介した。小林多喜二の作品とその死についての考察で話が閉じられると、三十代の参加者は、「多喜二が死を選んだのは、人として共産党員としての生き方を貫いたということではないか。僕もこれまで関わってきた人たちにたいして筋を通して生きていきたい」と感想を語った。
 一部と二部の間には、盛岡支部所属の準会員で、衆議院岩手一区から日本共産党の候補者となった吉田恭子(ペンネーム・河内こう)さん(27)が挨拶をした。颯爽と演壇に立った河内さんが、若い人たちの苦しい現状を変えたいという思いから立候補を決意したことを明かすと、大きな拍手と激励の声が湧いた。

 こんどの企画は、東京や大阪に続き、若い書き手の多く現れている東北地方で文学カフェを開いてみようと、東北各地の支部(盛岡、弘前、仙台)から六人、東京から三人、計九人が実行委員となり、七月末から準備してきたもの。打ち合わせは、主にメーリングリスト(登録した全員が同時にメールをやりとりすることのできるネット上の機能)でおこなった。盛岡支部の中村恵美さんが現地での実務の中心となり、文学や創作活動から離れがちになる子育て世代にも参加して欲しいと、託児所を用意。盛岡市内では、約五千七百部の新聞にチラシを折り込んだ。しかし、翌日に東京で全国青年大集会が予定されていたことや、急な総選挙の動きなどのため、参加者がなかなか集まらず、苦労した。盛岡支部、弘前支部をはじめ、東北各支部の先輩方には、オブザーバーとしての参加など多大なご協力をいただき、深く感謝いたします。目標としていた三十名を上まわる参加が得られたことだけでなく、それ以上に、準備と実行を通して若い世代の交流が深まり、結束がつよまったこと、今後の創作活動と文学運動につながる経験を得られたことが、大きな収穫だった。
(旭爪あかね)


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