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二〇二三年六月二十四日(土)、民主文学会事務所とオンラインで、「第一回若い世代の文学カフェ」が開催された。誰でも気軽に参加して、『民主文学』の作品について、作者を交えて語り合おうという趣旨である。 今回、取り上げられた作品は、『民主文学』二〇二三年四月号より、秋元いずみ「歌声にのせて」、秋吉知弘「指定席の景色」であった。ともに、気鋭の若い世代の作家であり、参加者の大半も四十代以下の若い世代が占めた。 最初に秋元作品について、渡部唯生の報告。作品の主題を、新型コロナへの感染症対策の時代における中学生の〈自由〉と〈勇気〉と措き、参加者からは「私が中学生の頃と琴葉はそっくりだ」「光は大人たちの言うことにも鋭く批判を向け、主体的に生きている。光の感覚の方がまともだ」などの意見が交わされた。 秋吉作品の報告者は、宅田葉月。ジェンダー平等を主題に、競争社会の中で分断された男性のコンプレックスを扱った意欲的な作品として読んだ。ボコの会での活動を通じての、ジェンダーを嚆矢とする古い価値観からの脱却の願いが込められているものと語られた。 一方、主人公の「キモさ」を表す描写が多いので、枚数を考えたら最後でいい人にするのではなく、キモいままで終わらせても良かったのではないかとの指摘があった。 二時間にわたる交流の中で、若い世代の新鮮な時代感覚、鋭い視角からの発言が相次いだ。 民主主義文学運動の一層の発展のためには、今後大胆に若いエネルギーを取り入れ、作品と批評に結実させていくことが急務である。このような集まりを各地で企画し、より進化発展した民主文学の世界を実現させたいものだ。 終了後の懇親会では、少人数ながら、SNS活用を巡る編集部とのやりとりなど、ざっくばらんな交流がもたれた。
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