「白い道」 池戸豊次 零下の山林で触れた木々が温かい。命、命と感じながら町役場の林務職員の私は歩いている。 「百万つぶの種」 柴垣文子 小学四年生を担当していた「わたし」は、教職員組合がひらいた育児休業法の講演会に参加した。 「母の料理ノート」 黒田健司 東京で京料理の店を開いて五年目、京都から母親が突然尋ねてきた。 「骨」 荒川 ヤ子 九十四歳で亡くなった叔母の唯一の相続人となった久美子には、三つの遺言が託されていた。