「非正規のうた」 中嶋祥子
二十七歳の奈緒子は夫と一歳の長男との三人暮らし。早く家を持ちたいと共働きを決意して「藤田プレス金属製作所」の面接を受けた。事務職のはずが次第に図面に向き合うようになった。ある時専務からテクノスクール江戸川の短期講習会の参加を勧められた。
「カメラッド」 能島龍三
単独行で登山をしている正憲が、年配の登山家多い誠二郎に出会ったのは高校生の時だった。
「クリーニング屋の夫婦」 櫂悦子
葵と恵二は小さなクリーニング店を営んでいる。お客が取りに来ない長期保管品の中に江嶋の名前があることに不審な感じがした。
「褐色の風景」 桐野遼
菊江さんの家を訪問看護で訪れた佳代は、玄関を開けてもいつもならある彼女の反応がないのに不安を覚えた。
「憎めないダダイスト」 田本真啓
僕と綾香が出会ったのは大学の「物語創作演習」の講義の時だった。綾香の言動は僕の平常心を破壊するのだった。
「雛鳥」 柴垣文子
夕食の後ふいに胃と腸の痛みが間断なく続いた。私は息子とともに救急車で病院に向かったが……。
「幸運」 仙洞田一彦
コロナ感染が減少傾向になったというのに、妻が熱発した。保健所に何度電話しても不審な男がでるのだった。
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