「誠太郎の判断」 倉園沙樹子
広島鶴見橋付近での建物疎開作業が命じられた。国民学校教頭の高橋誠太郎は暑い中、生徒を動員することを逡巡していた。
「仕切り直し」 かなれ佳織
家事も手伝いサービスの会社で働く未紗の仕事は、コロナ禍で細心の注意が必要だった。ある家で不審な音が聞こえた。
「ピョン吉」 宍戸ひろゆき
セピア色に変色した写真には少年とウサギが映っていた。恭平の脳裏に六十年の時を越えて、少年の日々が蘇るのだった。
「憎しみと悲しみは消えない」 保坂和夫
苦情対応のストレスで国見高広は精神科にかかり大量の薬を飲んでいた。福祉事務所に異動することになったが……。
「黄昏の街」 矢嶋直武
定年後の年金生活に入った小田敬介は時間を持て余していた。ある公園でけいすけは炊き出しにならぶ人々に出会った。
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