2021年9月号 作品紹介

     
 


「ラストステージ」 かがわ直子
「これが俺の最後の選挙だからな」というのが松井信三の口癖だった。肺気腫を患っていた彼は猫を飼っていた。

「庄吉さんとおじいちゃん」 風見 梢太郎
 私は庄吉さんのブログを愛読していた。ブログでは庄吉さんはある男性と同居し介護していた。

「夷酋幻像」 馬場雅史
 雅史はアイヌの長老たちを描いた「夷酋列像」を見るために北海道博物館を訪ねた。松前藩の海牡蠣崎波響の絵だった。

「子牛に乗った少女」 松山 薪子
 六年生になると昭子の住む守山町も B 29の空襲を受けるようになった。激しい空襲を防空壕の中で息をひそめていた昭子は……。

「伸ばした手の先に」 川本 幹子
 パティシエを志している友美は、コロナ家によって勤めていたケーキ店を辞めざるを得なくなった。今は花屋の三階に住んでいるが……。

思い考え 働くこと」 本野 光記
 近所にオープンするスーパーの求人に応募して私は働くことになった。同じ市営住宅の白木さんと一緒だった。

「消えた松林で」 山口 美恵子
 津波によって仙台の荒浜地区で何もかも流されたことを知った。芙美はかつて世話になった春恵の消息が不明で、不安だった。


「街路樹」 石井 斉
 姫野は精神科病院に40年間入院していた。寛解している姫野は退院し、一人暮らしをすることをすすめられるが……。

 
       

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