「廻り道」 高岡太郎
京都大学を卒業した西山英雄は九州製鉄所に入社した。幹部候補生としての採用だった。出世を目指す英雄は……。
「遺句稜線」 杉山まさし
病床の父親は藍色の手帳に俳句を書きとめるようになった。死後、私は父の残した句から父の”戦争”を考えるようになった。
「ペトトル川」 橋篤子
ロクさんの死を知らされた晶子は体の震えがとまらなかった。晶子とかんな母娘を支えてくれた彼の本名は朴枝明だった。
「深紅のバラ」 寺田美智子
核兵器禁止条約採択の報にふれたみどりは、かつて不幸な別れをした亮平のことを思い出すのだった。
「夏雲の下で」 河野一郎
夏休みに入り、五年生の幸雄たちは毎日遊びに興じていた。幸雄たちには気になる「駄菓子屋高井」があった。
「梁貴子との青春」 草薙秀一
私は高校時代に恋こがれた女性徒がいた。彼女は在日朝鮮人だった。思い切って手紙を彼女に出したが……。
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