「波濤の行方」最上裕 佐治村の松居地区は二十戸あまりが肩をよせあう漁村だった。そこにも戦争の波が近づいてきた。 「人身事故」木曽ひかる 九州出張の帰り、奈美の乗る特急列車が自宅のある名古屋を前に停止してしまった。隣の席の男性の様子が変だった。 「コンパクト」伊藤ミチ子 森田道代が施設長として働く共同保育所で、胆道閉鎖症の子どもを預かることになったが・・・。 「八月の遺書」能島龍三 総合病院で医師として働く美樹は、通夜で祖母からの遺書を渡された。遺書には驚くべきことが書かれてあった。