「時生、十五の春」櫂悦子 高校入試の発表の日、時生はラジオの前で緊張していた。一九六一年の三月、不合格なら就職の道しかなかった。 「手かさぎの感触」東喜啓 啓一は徳之島の砂糖黍農家の長男。高校卒業を前にして、農家を継ぐことを決意していたが・・・。 「誕生日」一條まさみ 八十歳を目前にした君枝は、いまだに自分がいつ、どこで生まれたのか知らなかった。 「百歳万歳の日まで」紫野咲葦女 九十歳をこえる「私」は小説の講座に通っていた。あるとき、深刻な病気が発見された。