「れんげ畑と時計台」岩崎 明日香
国立大学の入学金は、緋沙子には稼いだことも見たこともない大金だった。
「淀みに浮かぶ」原 健一
雪が本格的にならないうちにと、私と妻は百一歳になる母に会いに出掛けた。
「道づれ」増田 勝
書道教室の開講日。集まったのは六人。うち男性は里山繁夫一人だった。
「コープの米」栗木 絵美
「米よこせ」運動の話を祖父に聞いてみようと思ったのは、母の言葉がきっかけだった。
「献体」猪飼 丈士
「うちはいろんな人をぎょうさん泣かせてきたさかいに成仏できんかもな」と叔母はふと
そう呟いた。
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