「ホコリの塊」宮波 そら 閉店のメロディが流れ出すと林立した本棚から数人の客が動き出すのがレジから見える。
「こむニャンコ」田中 恭子 部屋に入ると祖母がベランダの斜め下を指さす。河川敷にトラ猫がいて二階を見上げていた。
「落穂拾い」横田 玲子 佐知は引出しから葉書を取り出した。古希を記念する同窓会のお知らせだった。
「午後のひととき」荒川 昤子 年寄りが、男の人と二人でいたりするとみっともないのか。八十一歳になるサチは呟いた。
「小説「舞姫」を読む」柏木 和子 若き鷗外作 愛と痛恨の物語