「ランドロワ・イデアルから遠く離れて」草薙 秀一
私は一九六九年自ら命を絶った倉田悦子について聞きたいという女子学生の電話に返答をためらったが……
「たんぽぽ」東 喜啓
細山は、ポニーの轡から伸びる調教綱を操りながら、「背筋を伸ばしなさい」と瑛太を叱り付けた。
「彷徨う蟻」石井 斉
統合失調症を患う潤は、ハローワークの障碍者窓口の紹介であおぞら保育園の面接を受けた。
「西明り」野里 征彦
西野は基一郎の家の玄関を開け声をかけたが、返事がない。横繁障子の向こうに電気がついていて留守の気配もしない。
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