2017年6月号 作品紹介

     
 
 「冬の架け橋」(新連載)佐田暢子
  雨の国会議事堂前、身動きできない群衆にまじって六人の教員が戦争法反対行動に参加していた。
 
 「亡国の冬」岩田素夫
  火の気のない四畳半の、雪明かりで仄白い障子に向かって、三人の兄弟が三つの座机を並べていた。

 「銀のエンゼル」野川環
  妻にがんが疑われたのは二年前の夏のことだった。長男の授乳中に妻自身が乳房にしこりを見つけた。

 「譲葉の顔」杉山まさし
  老齢の画家三田村の許に奇妙な依頼が舞い込んできたのは、赤旗まつりの似顔絵コーナーでのことだった。
          
 
       

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