2016年4月号 作品紹介


     
 
 「青い作業着」最上裕
   働きながら夜間短大で学んでいた智子は、会社から思想攻撃を受け、進む道を決断する。

 「冬の日」仙洞田一彦
   十六年前、母は記憶を抱いたまま去ってしまった。

 「墓碑銘」桐野遼
   札幌に住む義兄の急死を聞いたのは一月だったが、妻と二人の旅費の工面に半年かかった。

 「石塊の骨」杉山まさし
   タクシーを拾い、父母が後部座席に滑り込み、私は祖母の遺骨を抱いて助手席に落ち着いた。

 「余生を歩む」秋谷徹雄
   中崎玄は傘寿を迎え、妻や妹と互いの長寿を祝うことにして、新宿で食事会を開いた。

 「片栗の丘」青木陽子
   模型の感触とは違った。けれども、癌だった。すぐに切除手術のための入院が決まった。
          
 
       

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