■ 2016年1月号 作品紹介 ■ |
「ピンネ山麓」 高橋篤子 明子は夫と北海道の背骨とも言われる日高山系の麓に広がる十勝平野の北のはずれで酪農を始める。 「懐かしの小径」 吉開那津子 「ただいま」わたしはランドセルを背負ったまま、香坂家の玄関へはいっていった。 「空いた席」 仙洞田一彦 パソコンも何も載っていない小さな事務机に今朝まで与那二郎という男が座っていた。 「羽摶き」 柴垣文子 退職した年の冬、病気知らずだった夫ががんのステージ4と診断された。 「哀しみの秋に」 草薙秀一 私ははがきを受け取った刹那、兄とのかつての苦い思いをふくれあがらせていた。 「木守柿」 工藤勢津子 息子の消息を尋ねて上京した奈緒は、JR成田駅の西口に出て、都市地図をひろげた。 「陽のあたるベンチ」 橘あおい 看護師の私は、週に二度、左半身麻痺の博司を乗せた車椅子を押して公園に向かう。 「袋小路の宿」 風見梢太郎 レビー小体型認知症を患う元職場の先輩片倉がピカソ展に行きたいと言った。 |
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