日本民主主義文学会第27回大会宣言

 日本民主主義文学会第二十七回大会は、日本が歴史的な岐路にたっている時に開催されました。
 五月三日、日本国憲法が施行七十年を迎えたその日に、安倍首相は、自衛隊を憲法第九条に明記した新憲法を二〇二〇年に施行する意思を明らかにし、海外で戦争する国への歯止めなき道に乗り出そうとしています。さらに、国民の財産と公の行政機構を私物化した「森友学園」疑惑、跡を絶たない大臣の暴言、ルール無視の国会運営など異常な事態が続いています。こうした政治倫理の崩壊と一体に安倍政権は、内心を処罰する「共謀罪」の導入、戦前への回帰姿勢をあらわにした「教育勅語容認」の閣議決定、沖縄・辺野古での米軍新基地建設の強行、原発再稼働など、暴走を加速させる一方です。
 これに対し、市民運動と野党の共闘にますます幅広い人々が結集し、安倍暴走政治と対決する新しい時代も始まっています。
 世界でも、核保有国の妨害をはねのけて、歴史上初めて核兵器を違法化する国際条約が締結へ踏み出しました。欧米では、グローバル資本主義の暴走に対して、格差と貧困の拡大に反対する幅広い市民運動と結びついた新たな変革の流れが生まれています。
 しかし一方で、事実にもとづかない言葉で扇動する「ポスト真実」が世界に蔓延し、人々の動きを惑わせています。このようなもとで、現実の矛盾から目をそらすことのない批判精神を発揮して、言葉の力によって社会と人間の真実を描こうとする私たちの文学運動は大きな意味をもつのではないでしょうか。
 こういう時代だからこそ、私たちは文学創造を通して、よりよい社会をめざし行動する人びと連帯していきたいと考えます。
 今大会では、前大会から二年間の私たちの文学創造と活動の成果をふりかえりました。そこでは、震災、原発事故、安保法制、戦争、格差と貧困、労働、教育、介護といった多様な題材をとおして、人々の苦難とそれを打開するたたかいを描き、どう生きるかを問いかけてきました。
 同時に、こうした作品を広く読者の心に届けるには、いっそうの努力が求められます。また、文学運動の灯を次代に引き継いでいくことは喫緊の課題です。それらのためにも、幅広い多くの新しい人たちと結びついていきたいと考えています。
 私たちは、新しい時代にふさわしい創造・批評の力量をたかめ、文学運動に参加する人たちの輪を広げていくことで、新たな文学を創りだす決意をここに表明するものです。
 
  二〇一七年五月十四日

日本民主主義文学会第27回大会   

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