手塚英孝賞
 

第7回 手塚英孝賞発表


久野通広 「谷中村鉱毒事件の波紋―伊藤野枝『転機』」 に
 受賞者・受賞作

久野通広(くの・みちひろ 1957年生まれ。神奈川県川崎市在住。民主文学会会員、多喜二・百合子研究会運営委員)
 『講座 プロレタリア文学』所収。(2010年2月20日、光陽出版社発行、多喜二・百合子研究会編)
 

 受賞のことば
久野通広 
 私が、民主主義文学運動に参加するきっかけとなったのは、手塚英孝の小説「薬」の評論を書いたことでした。それを思うと、このたび、手塚英孝賞を受賞したことは望外の喜びです。伊藤野枝「転機」は、初めて読んだ作品でしたが、心を揺さぶられる新鮮な感動がありました。それは、足尾鉱毒事件で苦しむ谷中村の人々へのやむにやまれぬ同情から生まれた「連帯」です。そこにプロレタリア文学の原点を見た思いがしましたし、野枝の志は現代にも生きています。今回の受賞を糧に、もっとプロレタリア文学の今日的生命力を明らかにする評論に挑戦していきたいと思います。最後になりますが、家族をはじめ、これまで支え励ましてくださった皆さんに御礼を申し上げます。 

「手塚英孝賞」先頭に戻る