【声明】

岸田政権の大軍拡・大増税を許さない


 岸田文雄政権は、年末に「国家安全保障戦略(国家安保戦略)」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」「中期防衛力整備計画(中期防)」の安保三文書改定を与党協議で合意した。

 五年ごとの改定で、今回、政府、自民・公明両党が組み込もうとしているのは、相手国のミサイル発射拠点や指揮統制機能などを直接たたく「敵基地攻撃能力」の保有であり、日本への攻撃がなくても、安保法制に基づく「存立危機事態」の要件を満たせば、米軍などへの「攻撃着手」で武力攻撃は可能としている。これは相手国から見れば先制攻撃となり、全面戦争につながるものである。「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えようとも、先制攻撃は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした日本国憲法第九条に明らかに反するものである。単なる閣議決定によって、憲法の平和主義を捨て去ることなど断じて許されない。

 そしてこの軍拡のために政府は、今後五年以内に軍事費を「GDP(国内総生産)比2%」に倍増しようとしている。政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」は、その財源を「幅広い税目による負担が必要」とする報告書を提出した。その規模は年間五兆円であり、消費税増税や社会保障費の削減につながることは必至である。異常な円安や物価高騰により、国民生活がかつてない厳しさに直面している現状で、社会保障の削減や増税を行うことは、主権者国民のいのちと暮らしを破壊する最悪の選択である。

 かつての侵略戦争の中で、文学は戦意高揚に利用された歴史がある。戦争は国民から真実を奪いとり、文学にたずさわる者も表現の自由を奪われた。戦後民主主義文学は、侵略戦争への痛苦の反省のもとに、日本が不戦の誓いをしたところから出発し、日本民主主義文学会も半世紀を越えて歩んできた。私たちは、岸田政権の大軍拡を阻止するために、この課題で一致するすべての政党・団体・個人が結集することを強く呼びかけるものである。

       二〇二二年十二月四日

 日本民主主義文学会第四回幹事会  

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