戦後の平和を築いてきた日本国憲法第九条を骨抜きにしようと、安倍政権は、臨時国会に、自衛隊を九条三項に位置づける自民党改憲案を提示しようとしましたが、国民世論と野党結束の力で断念に追い込みました。しかし改憲の野望を捨てたわけではありません。安倍政権の改憲の企みを阻止するために民主主義文学会はいっそう力をつくす決意です。
一握りの大企業優遇、極端な対米従属を根本とする政治は、ますます国民との矛盾を深めています。沖縄県知事選挙で辺野古新基地建設を掲げてたたかった玉城デニー候補が、政権丸抱えの候補に圧勝し、政権の土台を大きく揺さぶりつつあります。国民が大義のもとに団結すれば、安倍政治を変えることができるという確信を与えるものとなっています。
同時に森友・加計疑惑にみられるウソと隠蔽にまみれた政治、安倍政権に特有の差別の政治も目を覆うものがあります。自民党の杉田水脈議員によるLGBTのカップルは「生産性がない」などに象徴される人権侵害と差別発言は、この政権の特異性を浮き彫りにしています。
これらの人権侵害、女性差別の根本には、この政権が過去の侵略戦争を肯定・美化し歴史を偽造する極右勢力によって構成されているという問題があります。男尊女卑、個人の尊厳の否定、個人の国家への従属は、どれもこの勢力が共有している時代逆行の思想にほかなりません。『新潮45』による人間蔑視の暴論、ネトウヨによる非理性的な発言の闊歩は、その政治のなかで醸成されているものと言わざるを得ません。外国人労働者の扱いにも共通するものがあります。
作家の星野智幸が、こうした動向に対して文学とは関係ないとして沈黙を守ることは、戦争に加担した文学者の轍を踏むことになると警鐘を鳴らしたのは重要な指摘です(『新潮』12月号)。
来る統一地方選挙、参議院選挙は、安倍強権政治を打ち破るための歴史的たたかいとなります。「オール沖縄」のたたかいに学びながら、私たちは平和と民主主義を求める文化運動の一翼を担い、多くの文学者とも共同して時代の危機を打開するために全力をつくすものです。
2018年12月9日
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