【声明】
自民党勉強会での言論弾圧発言に抗議する

 六月二十五日に開かれた自由民主党の「文化芸術懇話会」で、出席した議員が、「戦争立法」を批判する報道に関して、「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人、民間人が経団連に働きかけてほしい」などと声をあげたのに対し、講師として招かれていた作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と発言したと報道されている。これは「戦争立法」の審議で追いつめられた与党が、自らの説明責任を放棄し、言論を封殺しようとするもので断じてゆるすことはできない。
 さらに百田氏は、普天間基地がつくられた歴史をゆがめ、米兵犯罪についても沖縄県民を侮蔑する発言を行った。これは人間と社会の真実を見つめるべき作家として信じがたい暴言であり、文学に携わる者として看過できない。正式に撤回し謝罪すべきである。
 何よりこうした人物を講師として招き、その発言を野放しにするとともに、さらに議員自身が言論抑圧を進めようとするなど、自民党の政党としての責任は大きい。戦前の言論統制の中でも、時代の真実を文学作品として描き出したプロレタリア文学運動の流れを受け継ぐ私たち日本民主主義文学会は、言論の自由を封殺する動きに断固抗議する。また、説明の道理も理論もない憲法違反の「戦争立法」の撤回を求めるものである。
 
  2015年6月28日
日本民主主義文学会常任幹事会  

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