【声明】

橋下大阪市長による市職員への思想調査の即時中止とデータの廃棄を求める

 二月九日、大阪市の橋下徹市長は、市職員に対して「労使関係に関する職員アンケート調査」なるものを提示し、それに回答するよう業務命令を出した。この調査は、職員の実名を明記させたうえで、組合活動や政治活動に関する質問への回答を義務付け、正確な回答がなされない場合には処分の対象となり得るとしている。このような調査は、職員の基本的人権を著しく侵害するものであって、断じて容認されるものではない。
 本調査の調査項目には、勤務時間の内外を問わず、街頭宣伝に誘われたり参加したりしたことがあるか、他の職員から投票依頼を受けたことがあるか、それは誰かなど、職員の内心の自由を明白に侵害する事項が含まれている。この「アンケート調査」は、職員の思想良心の自由(憲法十九条)を蹂躙し、政治活動の自由(憲法二十一条)をも不当に侵害する『思想調査』そのものである。
 この調査にはまた、労働組合に加入しているか否か、組合加入によるメリットはあるかなど、職員の組合活動に明白に介入する内容が含まれている。これは、憲法二十八条に明記された労働組合の正当な活動を侵害する不当労働行為である。
 さらにこの調査の問題点は、その対象が市職員にとどまらず、市職員に政治家への応援を働きかけた市民にまで広がっていることである。これは市役所を住民監視の機関に変質させようとする、極めて重大な問題である。
 日本民主主義文学会は、創立以来四十六年間、文学を通じて人権と民主主義を守るために奮闘してきた。我々は橋下市長のファッショ的な政治に断固として反対し、『思想調査』の即時中止とデータの破棄を強く求めるものである。

    2012年2月26日
日本民主主義文学会常任幹事会  


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