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【決議】人権、自由、民主主義を求めて | |
国際的な人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは、二年前の二〇一九年、一〇〇カ国以上の人権状況を検証して、「独裁者による人権侵害をくつがえす動きが各国でひろがり、あらたな変化を勝ち取っている」と『世界人権年鑑』でレポートした。 しかしいま、私たちの前には、ミャンマーでの国軍クーデターと市民への銃撃をふくむ強弾圧が伝えられ、新疆ウイグル自治区にたいする中国政府の、強制収容、思想教育、完全監視による「世界で類例のない警察国家」づくりがすすんでいる。香港の自主自律的な民主化運動もまた、中国政府によって選挙制度が強権的に変えられ、運動をになった人士の拘束や権利制限、ジャーナリズムへの抑圧がつづいている。パレスチナガザ地区へのイスラエルの空爆は無差別に近く、断じて許されるものではない。 見逃せないことは、ミャンマーの事態にも新疆ウイグルでも、進出している日本資本の多くが沈黙し、弾圧を暗に認めてしまっていることである。名古屋出入国管理局(入管)でのスリランカ人女性の死亡事件、また、難民保護申請者を本国へ強制的に送還できるように入管法を「改正」しようとするなど、ここに来て、わが国が人権保護の後進度をさらに露呈させていることも重大である。 人権、自由、民主主義をめぐって二年前に指摘された「新たな変化」を逆走させているものは何か。それぞれに歴史的背景や動因するものがあるといえ、コロナ・パンデミックが大きな影を落としていることは疑いない。新型コロナ禍が、未知のウイルスに対する生存の危険をふくむ恐怖とともに、人が自然権として持つ自由を制限してくることに底深い不安をもたらし、そのことが人を苛立たせ、各国各地に溶け込み染み込んだ差別と偏見を非常時レイシズム≠ニもいうべき形で表出させているのである。 このときに、ミャンマーでは不服従の民が起ち、アメリカの黒人死亡事件に端を発してBLMの声と行動がひろがっている。ジェンダー平等、SDGs、気候変動に対する世界の若者たちのFridays For Futureなど、世界各国各地で人権、自由、民主主義を求める多様多彩な運動が展開され、人は誰しもが平等に、自由に生きるべきものだと声をあげている。それはいまや世界史をまったく新しいものに塗り替える可能性をも秘め、人間存在の意味を輝かせて文学的である。 私たちもまた断然、この一翼に連なっていたいと強く願う。 二〇二一年五月十六日
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