【決議】 安倍首相の庶民いじめ政治と改憲策動推進に国民の審判を下そう

 四月の新元号発表に始まり、史上空前の十連休を伴う天皇の生前退位と新天皇の即位の大々的キャンペーンを国民への目眩ましとして最大限に利用しながら、安倍首相は今国会における憲法審査会の審査を促し、憲法九条を名実ともになきものにする策動を強めている。重ねて示された民意を無視して辺野古新基地建設を強行しながら、護衛艦の空母への改装など、アメリカとの軍事一体化も強められている。

 天皇代替りにちなんだ皇室関連報道の洪水の中で、記録廃棄や改ざんにより解明がうやむやにされてきた森友学園、加計学園問題が社会の後景に追いやられようとしている。他方、アベノミクスの破綻があきらかになる中で、その失敗を覆い隠そうと賃金統計が意図的に操作されたのではないかとの疑惑も浮上し、政府はこの八年間の実質賃金統計を示せない状況に陥った。庶民の生活の厳しさが増す一方で、トヨタが国内企業史上初の三十兆円の売上げを達成するなど格差は拡大し続け、十月にはそれに追い討ちをかける消費増税が企まれている。安倍首相は内政の失敗から国民の目を逸らさせるように外遊を繰り返しつつ、アメリカからは多年に亘る巨額支払を伴うF35戦闘機を購入する一方、「北方領土」問題ではロシアへの屈服の色合いを強め、最近では拉致問題に限って「無条件の対話」を北朝鮮に呼びかけるなど、アメリカいいなりとパフォーマンスだけの外交の矛盾が露呈されている。

 安倍政治を側面援護するメディアの動きがありながらも、四月の統一地方選挙では自公勢力は芳しい結果を得られず、市民と野党の共闘を進め安倍政治を終らせようとする政治勢力への国民の期待は高まっている。安倍政権がほのめかす苦し紛れの衆参同時選挙が策動されたとしても、これ以上、安倍政治の暴走を許してはならない。
 私たちは、社会と人間の真実を描く創造批評活動を意識的に追求する団体として、こうした庶民いじめの安倍政治を断ち切り、目前の改憲策動を阻むために、広範な人々と力を合わせて、国民的審判を下すよう奮闘することを、ここに宣言する。

二〇一九年五月十二日

日本民主主義文学会第二十八回大会  


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