「労働者の現状と文学研究会」 (2007年12月)


   現代の労働はどうなっているのか―『雇用融解』の取材の中で  
 
 12月21日に、労働者の現状と文学研究会が開かれた。22回大会後の機構としてつくられたもので、開催は4年ぶり。参加者は12人で、これまでの研究会にかかわっていた参加者に加えて、首都圏青年ユニオンのメンバーなど、新たな広がりもあった。
 再開第1回目は、東洋経済新報社の記者の風間直樹氏による「現代の労働はどうなっているのか―『雇用融解』の取材の中で」の報告をもとに討議した。
 30歳の風間氏は、自分と同世代の若者が置かれている異常な状況に関心をもって取材したと語っていたが、報告された労働実態は参加者の胸に迫ってくるものがあった。労働災害で肋骨を折っても救急車を呼ぶことなく、自分の車で帰れと言われた二次下請けの労働者。工場の夜勤専属の仕事で、隙間風の入る部屋でも寮費として2万7千円取られ、日給月給のために年末・年始やゴールデンウィークは手取りが8万円と激減するが、こんなところでも辞めたら住む所がないと抜け出せないでいる女性期間工。日雇い派遣、ネットカフェ難民という言葉はよく知られるようになったが、それだけに止まらない今日の労働現場の状況が生まれている中で、さらに労働法をかいくぐるものとして個人請負が2008年度は社会的な問題になっていく可能性があることが報告された。
 参加者からも、牛丼チェーンで個人請負契約が行われていることや大学の講師も非正規労働が横行していることなど、労働の様相が大きく変化してきていることが話された。
 こうした労働現場の変容をどう描き、どう心をうつ文学を生みだすか、課題の大きさを認識させるとともに意欲を生む研究会となった。
 
  (乙部宗徳)     

「労働者の現状と文学研究会」に戻る