日本民主主義文学会創立50周年記念レセプション開かる
 

 一九六五年八月、九十三人の同盟員によって創立された日本民主主義文学会の創立五十周年を祝う記念レセプションが、八月二十九日、東京都内で開かれた。来賓二十六人、文学会会員六十八人の合計九十四人が参加した。
 
 田島一会長が開会の挨拶にたち、大先輩である窪田精氏が、プロレタリア文学について触れた松本清張の言葉を引いて、「民主主義文学も、常に後の世代に継承され発展してゆく文学だ」と述べていたことを紹介し、「困難はあるが半世紀の歴史と伝統を踏まえ、時代を切り拓く文学運動の発展に力を尽くしたい」と抱負を語り、乙部宗徳事務局長は、「文学運動の五十年とその課題」と題した講演で、五十年間文学運動が続いてきたことには、時代の「真実」を描く場を守らなければならないという思いがあったこと、この雑誌を読みたい、必要だと思って読者を増やし、カンパを寄せていただく人たちとその期待に応えようという思いがあったこと、そしてこの七十年間日本が戦争をしない国であったことを忘れず、平和と民主と人権擁護をもたらす言葉を届けよう、と述べた。
 続いて、『民主文学』にエッセイ「七十年の『憲法人生』を顧みて」を連載中の九十二歳の国際政治学者・畑田重夫氏の音頭で乾杯。歓談の後、民主文学事務局制作のスライド「日本民主主義文学会五十年のあゆみ」(十八分)を会員の三原和枝氏のナレーションで上映した。そして、文芸評論家の澤田章子氏が「創立当時をふりかえって」を話され、体験談を交えた貴重な話に全員が耳を傾けていた。

 その後、文化団体連絡会議の高橋正志事務局長、詩人会議運営委員長の小森香子氏、日本共産党副委員長の市田忠義氏、全国革新懇事務室長の乾友行氏に祝辞をいただき、作家の黒井千次氏、加藤幸子氏、民主文学会顧問税理士の田中大介氏のメッセージが披露された。
 祝辞はさらにアメリカ文学者の村山淳彦氏、労働者教育協会事務局長の須藤秀幸氏、婦人民主クラブ会長の櫻井幸子氏、新日本婦人の会中央常任委員の村岡晶子氏と続き、最後に宮本阿伎『民主文学』編集長が、亡くなられた先輩方にふれて「人生は中断するが、私たちが尽くしている運動と戦後七十年の平和を中断させてはならない」と決意を表明し、旭爪あかね副会長が「これからも研鑽を積み、創造批評に邁進したい」と閉会の挨拶をした。

 七十年前、宮本百合子は「歌声よ、おこれ」のなかで「私たち人民は生きる権利をもっている」と述べている。風雪の五十年、「歴史の真実、人間はいかに生きるべきか」を問うてきた民主文学運動の歴史と実践を真正面から受け止め、継承、継続、発展させることを各々が胸に誓い、記念すべき集いとなった。
 (たなかもとじ)