2024年 各地の文学研究集会
 九州文学研究集会開催  

 
二〇二四年の九州文学研究集会は、佐賀支部が担当で十月十九日(土)〜二十日(日)、佐賀県古湯温泉の旅館で開催した。衆議院議員選挙や体調不良で不参加になった人もいたが、参加者は北九州、福岡、佐賀、長崎支部から二十二名だった。講師は民主文学会常任幹事の風見梢太郎さんをお迎えした。

 十九日は佐賀支部長の開会挨拶後、講演をお願いした。テーマは「何をどう書くか─体験から小説の飛躍」。何をどう書くかでは「説明」と「場面」について例文を挙げて説明があり、芸術としての小説の特徴では読者が主人公と一緒になってその世界を旅することができる作品、臨場感のある「場面」が重要である。体験から小説への飛躍では、体験をそのまま書くのではなく、自分が読者に受け取ってもらいたいもの(テーマ)を起承転結のある「物語」として書くなどとても解りやすく講演していただきあっという間の時間だった。

 その後各支部の支部誌から推薦された三作品の合評を行った。夕食と交流会では自己紹介を行いながら季節感のある料理と好きな飲み物で楽しいひと時を過ごした。

 二十日は三作品の合評を行い、最後に風見さんから常任幹事会からの訴えがあった。
 次回は、北九州、福岡支部で担当することが決まり研究集会を閉じた。
                       (大橋恵子)

  北信越文学研究集会開催  

 本来は昨年開催するはずだった富山での北信越文学研究集会は、一年遅れになりましたが、深まりゆく秋のなかで、十一月十六日(土)、十七日(日)富山市内のサンフォルテで、六支部から二十五名の会員と読者が参加されて、密度の濃い内容で開催することができました。

 講師には民主主義文学会副会長の青木陽子さんをお迎えし、「小説で人間をどう描くか」というテーマでの講演会は、「年表」を横に置いて書くなど、これからの作品を執筆するうえで大変参考になるもので胸にずっしり落ちました。

 各支部からの作品合評は、初日には、@清水春衣「高窓の月」(長野支部『ちくま』四九号)、A水坂結衣「外に向かった憤れ」(上田支部『こまゆみ』五〇号)、B机文明「決意の時」(新潟支部『河口』二七号)の三作、二日目には、Cゆいきみこ「自転車用ヘルメット」(松本支部『群峰』四九号)、D高田力「わっちらのさとちゃん」(富山支部『野の声』五〇号)の二作の順で行い、各作品についての感想や意見がたくさん出されました。

 研究集会の内容をまとめる形で、地区担当の幹事の原健一さんから次のような発言がありました。
 「今回の富山集会は、参加者二十五名というのは、全国のなかでも多いなかに入り、また、この地区の会員さんの活躍はめざましいものがあります。『民主文学』誌への掲載が連続しています。心強い限りです。二日間で各支部から提出された五作品に対する討論は非常に活発でした。これからもこの地区から新しい書き手が登場されることを心から期待します」

 二日目の最後に、民主文学会組織部・常任幹事会から出された「研究集会を契機に組織拡大を進めるために」の呼びかけを、講師の青木陽子さんから提案されました。

 次回の研究集会は長野支部に担当をお願いすることにし、了承を得ました。
 二日目の全日程終了後に、希望者を富山市内にある「高志の国文学館」にお誘いし、開催中の井上ひさし展を観ていただきました。
                   (高田 力)
   東京文学研究集会開催  

十一月三日(日)、第28回「東京文学研究集会」が板橋区立グリーンホール・文化会館で開かれた。午前中は石井正人千葉大学名誉教授(文芸評論家)が「多様な創造とAIの行方」をテーマに講演した。午後は四つの分科会に分かれ、十二支部から提出された十二作品を合評した。参加者は四十二人だった。

 冒頭、仙洞田一彦実行委員長は「『民主文学』への作品提出数が減少ぎみだ。今回合評する作品も手を入れて投稿して欲しい。後継者を育てるのと同時に高齢者も頑張って欲しい」と述べた。

 石井氏は最近の理工系の雑誌や書籍を紹介し、AI技術の発展の状況を解説した。「AIといっても大量の既存情報を集積・分析して回答するシステムであり、誤りも生じることを忘れてはいけない。美術など他の芸術分野では、『AIの誤り』を創造のヒントとする試みが始まっている」と紹介。

 文学ではAI技術の登場により世界の近代文学が前提としていた「揺るがず確立した個人」や「人間のオリジナリティー」という考えも見直す必要に迫られていると指摘した。「人間には自分が思っているほど独創性はなく、それを踏まえた創作活動も必要だ」とした。『民主文学』二四年三月号に掲載された小説「半分の光明」(最上裕)を「AIが職場に与える影響を探求した先駆的作品」と紹介した。

 分科会で合評した作品は次の通り。
 ▽「転向者」(夢前川広、滔々の会)▽「兄」(筑摩静、足立支部)▽「あなたならどうする」(田中館哲彦、渋谷支部)▽「龍のめぐりあい」(佐々木みのり、多摩東支部)▽「シベリアの春を待ちながら」(内田恵子、萌葱支部)▽「敗者復活戦」(石川倫太郎、東京南部支部)▽「雲烟過眼」(有馬八郎、板橋支部)▽「中山さんの日記」(佐和宏子、杉並支部)▽「脳梗塞がやってきた朝に」(砂山洋一、野火の会支部)▽「雪の日 幸いの日」(新木輝代、東京東部支部)▽「長崎町奉行事件控え 其の二」(谷本諭、代々木支部)▽「認知機能検査」(峯岸益生、野猿の会支部)
                            (夢前川広)

   関西文学研究集会開催   

 第四十四回民主文学関西研究集会は、十一月十六日(土)大阪市内で、コロナ禍で五年ぶりに開催されました。オープニングはイスラエル軍の爆撃で殺された作家の詩「ぼくが死ななければならないのなら」の朗読。

 横田昌則氏が開会挨拶をして、午前の文芸講演会は、「不確実性の時代に向き合う文学とは 私の場合」と題して、作家、倉園沙樹子さんが講演(「しんぶん赤旗」連載小説「つぶての祈り」作者・十一月二十五日付終了)。自身の創作方法として、書きたい「何か」があることが小説を書く原点だということ、テーマを深めることの大事さなど「巨艦の幻影」などこれまでの著書を紹介しながら話しました。また、戦争の時代を描くのは、現代の視点から戦争の時代を批評すること、戦後明らかになった研究成果を取り入れる、の二点をあげました。描くにあたっての一番の関心事は、なぜ・どのように国民はだまされたか、創作にあたっての自身の視点についても述べました。

 連載中の「つぶての祈り」については、題名に込めた意味を「教育というのは、未来に向かってつぶてを投げ入れるに等しい営み。文学も同様」と語りました。休憩中に何人かから質問も出され、倉園さんが丁寧に応え、いっそう講演の内容が深まりました。

 午後からは、四つの分科会(創作三・評論一)に分かれて、十二作品を合評しました。二十代の作家や初めて書いた作品なども出され、作品ごとの報告をもとに活発な討論になりました。各分科会では、文学会組織部・常任幹事会からの「組織拡大を進めるために呼びかけます」の文書についての確認をしました。

 参加支部は、京都・吉田・神戸・阪神・奈良・泉州・なにわ・大阪北。個人、申し入れや、お誘いを受けてなど初めての人も多く、合計六十人が参加しました。

 「本日の講演で作品に込めた意志や気持ちがよくわかりました」「文学に向き合う姿勢を学んだ」「いろんな努力の結晶が小説になっているんだなあ」など二十五人から感想文が寄せられました。

 また、『民主文学』への要望・意見では、「若手の対策を」「文字が小さい、大きくしてほしい」「研究集会を年二回にしてほしい」「毎回刺激を受けています」などがだされ、次回への期待も受けた有意義な研究集会になりました。
                           (川本幹子)
 
  東海地方文学研究集会(オンラインで開催)    

 第三十六回東海文学研究集会が十二月七日(土)十一時より十七時までオンラインで開催されました。参加は岐阜、浜松、名古屋の三支部と個人参加、講師含め合計十六名でした。 

 講師は柴垣文子氏。講演内容は、「小説へのアプローチ〜私の創作体験〜」でした。短編小説「我が家」が『民主文学』に掲載されたとき、この小説には棘が書かれていない、と言われた。時代に潜んでいる棘が見える、それが作家の目。それをすくい取って表現しなさい、社会の現実を視野に入れて書きなさいと言われた、というお話が心に残りました。パレスチナの英文学者リフアト・アル=アルイールの詩を全員で読み、ガザの戦争に思いをはせました。最後に、自分のクリエイティブを発揮しているとき人は孤独を感じない、という言葉を引用して講演は終わりました。非常に心に残る講演となりました。

 合評作品は、@丹羽あさみ「平和の行進」(岐阜支部)報告は松本凜、A鬼頭洋一「路上ライブとひとり街宣」(名古屋支部)報告は井村幸広、B松山薪子「おためし婚」(名古屋支部)報告は青木重人の三作品。参加者全員が活発に発言しました。テーマに向けて伏線をはるとよいことなど今後に行かせるヒントがありました。最後に柴垣氏から総評、及び文学会から組織拡大の呼びかけがあり閉会しました。
                          (松本 凜)


  四国文学研究集会   
 

 第47回四国文学研究集会を十二月十四日(土)から十五日(日)、徳島市内のホテル・サンシャイン徳島で開催しました。

 初めに、最上裕民主文学会常任理事が講師で、「『広き流れに』の創作体験を語る」の記念講演を一時間余りおこない、愛媛支部から四名、高知支部から二名など二十三名が参加しました。「小説の背景の話が聞けてよかった」「小説の中から生き方についていろんなことを学べると思いました」などの感想が寄せられました。

 その後二日にかけて作品合評会をし、夜の懇親会には十名が参加し、終わった後、阿波踊り会館にいき阿波踊りをおどりました。

 合評会は、愛媛支部から小林信次さんの「東日本大震災、あの日から」と黒萩伸次郎さんの「栗毛の馬はどこにいる」、高知支部から粟田昇さんの「工石山超え」そして最上裕さんの「広き流れに」の四作品を十三名の参加でおこないました。

 最後に、研究集会を契機に組織拡大をするための論議をし、三名の名前をあげました。次回は愛媛での開催を確認して閉会しました。 
                     (古田元則)