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東京文学研究集会開く 第二十五回「東京文学研究集会」が十月二十三日(土)、東京都板橋区の板橋グリーンホールで開かれた。昨年は新型コロナ禍の影響で中止となり、二年ぶりの開催となった。参加者は四十七人。 仙洞田一彦実行委員長は「今回の集会は『社会と人間の真実を描く』だが、事実と真実は違う。事実をそのまま書いても真実は描けない。理屈ではなく感動が伝わるものに仕上げていくことを大事にして欲しい」とあいさつした。 午前の部では風見梢太郎氏が「四十年書き続けてようやくわかった 小説を書く上で一番大切なこと」と題して基調講演した。 風見氏は高校時代のことを描いた「浜風受くる日々に」など八冊の著作の創作体験を語った。 福島第一原発事故に関わる作品集「風見梢太郎 原発小説集」については「文壇ジャーナリズムの作家と競争してみたい。絶対に負けないという自信があった」と意気込みを語った。反響の一例として中国広東外語外貿大学の楊暁輝教授から同作品集にある小説「森林汚染」の翻訳許可依頼があったことなどを紹介した。 職場の活動を中心に描いてきた作家として、定年退職後、何を書くべきか悩み介護、LGBTなどの新たな分野に挑戦したほか過去の職場の闘いを振り返る作品に注力しているとした。 「退職しても職場を描くことをあっさり放棄せず、テーマを追求することで良い作品につながる」とアドバイスした。 午後の分では十三支部の小説十三作品を、五つの分科会に分かれ合評会が行われた。 合評した作品、作者、支部は次の通り(敬称略)。 ▽駆け込み天国さん(佐々木みのり、多摩東支部)▽新しい日常へ(中原遼、野猿の会)▽大坂町奉行裁許帳「哀しい女」(谷本諭、代々木支部)▽ハミ瓜の味(真田誠、野火の会支部)▽証明写真を撮る男(木沼駿一朗、東京東部支部)▽サンドイッチ(希楽生代、渋谷支部) ▽お仲人さん(坂田宏子、杉並支部)▽笑顔のために(木原信義、町田支部)▽空襲のやってきた日(田中山五郎、板橋支部)▽国境を渡る風(國府方健)▽暖かい心(能村三千代、滔々の会)▽記憶(今井治介、東京南部支部)▽終の棲家・東海道赤坂宿(中嶋祥子)。 (夢前川広) |